利用される方にとって、スタッフは家族であるということ 看護部長 藤森和恵

「介護医療院」として新たにスタートし、わたしたちスタッフにとって利用される方たちのより快適で豊かな暮らしとは何か?については、永遠のテーマと言えるかもしません。

これまでも、診療科を越え各専門職からなるチーム医療で患者様ひとりひとりに合ったケアに努めてまいりましたが、暮らしの場としての機能を備える「介護医療院」であるからには、利用される方にとってスタッフも家族であるといっても過言ではありません。

そのひとつひとつのケアの理念となるのが、自分や家族が受けたい看護であるかどうか、ということです。日々の暮らしの中で、何時になったら何をするといった時間割ごとの看護スケジュールはもちろん存在しますが、それがすべてではありません。人が生活する中で、「今日は気分が乗らないから、おやつはいらない」「今は一人で過ごしたい」・・・そういったことがあって当たり前です。そんなちょっとした気持ちや思いに寄り添い、家族として考え利用者ひとりひとりと接することが、「介護医療院」のケアであり、わたしたち看護部のありたい姿だと思っています。

「介護医療院」に不可欠な“豊かな視点”を備えた人材育成

病院から「介護医療院」に新たに生まれ変わり、わたしたちスタッフに求められるケアの質やスタンスもおのずと変化が求められます。「介護医療院」は住まいであることを前提に、私たちは利用者の方をケアするスタッフであり、隣人でもあるのです。

利用者の方それぞれの性格や好みを知ったうえで、どう接していくことがその方にとっての豊かな生活に繋がるのか、ご家族のご意向や思いなども慮ることができる“豊かな視点が必要不可欠になってきます。スタッフとしての知識やスキルはもちろんこれまで以上に必要ですが、それ以前にある人として利用者の方とどう向き合えるのか、これまで以上に幅広い視点を養える人材育成にも注力していきたいと考えています。

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「ここで過ごせてよかった」と思ってもらえる看護を目指して

利用者の中には言葉が話せない方や認知症の方も多く、ご本人の希望が分からない場合もあります。そういった場合には、ご家族との綿密なコミュニケーションから、ご本人やご家族にとって暮らしの中で、重要なことやこだわりを反映した、安心・納得いただけるケアを目指しています。

また、長期的な療養や介護では、ご家族が不安や悩みを抱えていらっしゃるケースも多く、必要な情報提供や治療やケアに関する提案を行うことで、ご家族の気持ちにしっかりと寄り添うこともスタッフの役割だと考えています。絶対的な正しさのない看護・介護の分野において、ご本人やご家族に『ここで過ごせてよかった』と感じてもらえることが、私たち看護部の目指す姿だと思っています。